カオマンガイ風チキンライス

  • 2018.04.08 Sunday
  • 00:28
 開高健がベトナム戦争に従軍して最前線をほっつき歩いていたころ、政府軍のベトナム兵はお茶を飲むのも料理をつくるのもヘルメットひとつでやっていたそうだ。メットをくるりとひっくり返して煮込み料理だとか、ご飯も炊いちゃう。戦隊には生きた鶏をベルトに挟んで、よっちらこっちら前線に向かう兵士もいた。 
 鶏は新鮮なのが最上だから、戦場で首を落としてむしって煮込んだ鶏はうまいんだろうなあ。いつ銃弾にやられるかわからない最前線のジャングルで、しめて煮こんだ鶏肉のうまさはどんなものなのだろう。僕には試しようがない。
 という事でカオマンガイ風チキンライスでも作るか。
 僕は下北沢のアパートを出てスーパーオオゼキに向かった。鶏もも1kg、生姜ひとかけら、小ねぎにきゅうりを買う。
 タイのジャスミンライスは棚に常備してある。この料理は日本の米で作っても全くピンとこない。あくまで東南アジアの長粒米が必要だ。
 タイ米を洗って、1対1で水を投入して火にかける。生姜ひとかけらとウエイパー1さじもいれた。焦げつきを少なくする為には、途中で米をかき回したほうが良い様だ。鶏モモを軽く水で洗って塩と酒をふる。お米が煮立った頃に皮を上にして鶏を鍋に入れた。フタをして蒸気が漏れない様に15分煮る。そして10分蒸らす。
 横では小ねぎを刻んでぽん酢と胡麻油でソースが完成。パクチーが好きな人は加えれば良い、よりカオマンガイに近い料理ができるであろう。そしてキュウリは叩くほうが食感がいいように思える。
 さあ、25分で出来上がりである。
きゅうりのタタキの小皿、ポン酢ベースのソース。鶏はフォークで取り出して俎板で小片に切り分ける。大皿にたっぷりとご飯をよそって鶏のぶつ切りを添えた。いただきまーす。
 ソースをネギごと肉にぶっかける。きゅうりもまぶしちゃう、ごはんも適当に混ぜたら、一塊にしてほう張るのである。もぐもぐ、もぐもぐ。う、うまい。死ぬほど美味い。これレベルの食材の組み合わせは世界広しと言えどもなかなかあるもんじゃない。イギリスのエッグマヨサンドにミートパイ、フランスのハムチーズサンド、日本ならTKGか塩ジャケ飯、あとはピタパンに羊の焼き肉、ジョージアのチキンサンド、中国の焼味飯、韓国のカルビビビンバなどの至高のレベルに達している。その土地で最も当たり前の食材で作った、安くてうまい貧乏人のご馳走だ。貧乏人はえげつないもの食ってまっせー。
 フォアグラとか松茸とかトリュフにキャビア、燕の巣とか干し鮑ももちろん美味いけど、あまりにも高価だし、もう美術品扱いなんだよね。ヴァニティフェアなんだよ、食材に貴賎なし。例えば煮魚で最高はイワシだと思う。イワシをくっつり煮こんだものより旨い魚があるというならもってこい、と言いたいです。
 ところで東南アジアには、各国それぞれの鶏めしがあって、それぞれ気の遠くなるような旨さである。広東料理だと鶏入りの粽、ベトナムにも餅米を使った鶏めしがある。タイのカオマンガイに、シンガポールのハイナンライス。味付けやソースや仕上げに変化はあるも、鶏と長粒米を使うところは一緒です。
 最後に、残りものを鍋ごと冷蔵庫に冷やしておく。冷えたチキンを細かく切って、ねぎを焦がしてチキンと冷や飯のチャーハンにすると、夢のチャーハンのできあがり。
 2度美味しい。
 

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下北沢のアパートでリーバイス501シュリンクトゥフィットを洗う

  • 2017.10.22 Sunday
  • 11:20
 とうとうリーバイス501シュリンクトゥフィットを買ってしまった。
 シュリンクトゥフィットとは(縮んでフィット)と訳せばいいのだろうか。とにかく洗うと縮んでいってしまうジーンズのことである。昨今はほとんどすべてのジーンズに縮み予防や色落ち予防加工が施されているので、洗濯するときに、あまり頭を悩ます必要がない。しかしシュリンクトゥフィットは洗濯すると、バンバン色落ちするみたいだし、グイグイ縮んで行ってしまうらしい。
 現在、アメリカのリーバイス501には大きく2つのラインがある。一つはオリジナルフィットで、もう一つがシュリンクトゥフィットだ。
 501オリジナルフィットは現代的なジーンズであり、洗濯機で洗っても、当然のようであるが、縮まない。
 501シュリンクトゥフィットはウエストで1から2インチ、レングスで3から4インチ縮むらしい。そしてインディゴの色落ちも激しいらしい。
 僕はリーバイスのホームページをよく読んで、大きめのサイズをオーダーしたのであった。

 下北沢のアパートに荷物が到着した。
 僕は新品のリーバイス501シュリンクトゥフィットを手に取った。お、重い。なんなんだこの重さは。そして、試しに履いてみた。かっ、硬い。なんなんだこの硬さは。まるでダンボールの箱を履いているみたいだ。ウエストはぶかぶかだし、長い裾は袴みたいに足に纏って、転びそうになった。
 約1年前、インターネットで僕はリーバイス501シュリンクトゥフィットを見つけた。そのとき僕は新しい501を買おうと思っていたのだ。そして、ふと1980年頃のリーバイス501を思い出した。
 The Clash の London Calling がリアルタイムで流れる渋谷のジーンズ屋であった。
「501欲しいんだけどこれでいいかな」
「いや、もう2インチ長めのレングスにしときな。洗うと結構、縮むから」
ジーンズ屋の店長さんは僕にぴったり合う501を選んでくれた。当時は通称赤耳モデルである。そして新品の501を持って家に帰ると、母親が嫌な顔をした。
「他の洗濯物と一緒にしないでね」
当時は、良きエージングみたいなものは、全然考えていなかった。海に行ったし、サッカーをしたり、花壇の石に座ったり、とにかく毎日ガンガン履いて、そして洗濯していたのだ。
 さあ、2017年現在の501シュリンクトゥフィットだ。まず、洗おう。
 風呂にお湯を張った。僕はジーンズを履いたまま湯船に浸かった。いわゆる一緒にお風呂に入る洗濯法を僕は選択したのだ。
 そして湯船を出て、洗い場で少しジーンズを乾かす。水がしたたり落ちなくなったら、そおっと脱いで、そのままベランダに持って行き、洗濯ばさみを10個くらい使って干した。
 ふう、一仕事終わった。僕はコーヒーを淹れてベランダに戻ってきた。
 洗濯竿に干してあるジーンズを眺める。
 ジーンズは立体的に僕の形状を保ったまま、どんどん乾いていく。なんか凄い。どういう技術なんだろう。触ってみるとハリがあって木綿の生地というよりは形状記憶合金みたいだ。膝の後ろを見るといくつかシワが入っている。膝頭を見ると少し生地が縦に伸ばされている。なんか凄い。赤耳と全然違う。とにかく立体的だ。
 僕は、501シュリンクトゥフィットは、唯の復古主義のジーンズだと思っていて、現在まで手を出さないでいたのだ。しかしそれは間違いだった。これは明らかに新しい501だ。
 これからどんどん履いてみますね。
 

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マルちゃん焼きそば

  • 2017.09.18 Monday
  • 21:36
 キャベツと豚の細切れ肉そしてマルちゃん焼きそばを買った。まだお金があったので、タコの刺身も買った。そして僕は下北沢のアパートに帰った。
 まずタコぶつだ。包丁でタコの足を乱切りする。そして楊枝を刺して、まな板の奥に置いてしまう。タコぶつをつまみながら、僕は料理をするのであった。
 コリコリ、もぐもぐ。うーん、このタコぶつ、すごく旨いじゃん。
 それはモーリタニア産の小ダコであった。安くてとっても美味しい。モーリタニアは西アフリカである。スペインから南下してジブラルタル海峡の向こうはモロッコである。地中海に入らずにそのまま大西洋を南下するとモーリタニアだ。西アフリカ沿岸は素晴らしい漁場だそうだが、現地ではタコをほとんど食べないらしい。だから端からどんどん日本に売るそうだ。もちろん銀座の寿司屋の、生の明石のタコをよく揉んだみたいな、栗の花の匂いやほっくり感はないけれども、モーリタニア産の小ダコはとても美味しい。
 僕はタコぶつをコリコリやりながらキャベツを刻んだ。次に豚の細切れ肉を切って薄塩を振った。そしてマルちゃん焼そばを取り出した。
 マルちゃん焼そばは調理するときにほぐれにくいのと、ソースの粉が固まりやすいのが難点なのだが、僕はネットで見た北斗昌さんのレシピが好きだ。そばをボールに開けて、ミリンを振って麺をほぐしたところにソースの粉をまぶしておくのである。箸でかき回すと麺は完全にほぐれるし、ソースも均等に絡んでくれる。
 ところでマルちゃん焼そばは、昔からスーパーの麺売り場にあって、最近は存在感が増しているように思う。1975年に誕生し、現在、麺の売上日本一だそうである。カップラーメンの上をいく年間3億食で、とてつもないベストセラー商品なのだそうだ。
 さあ料理開始である。フライパンを熱くして、豚肉を炒めた後に、キャベツを投入した。適宜、蓋をして蒸気で火を通したりしながら、最後に麺を入れた。麺に焼き目がついたら完成である。本当に簡単ですね。そして同時に目玉焼きも作った。
 大皿に焼きそばを盛る。青海苔をしっかりとふりかける。目玉焼きを乗せて、紅生姜を脇に置いた。さあ、マルちゃん焼きそばの完成だ。
 僕はホカホカの焼そばをかっこむ。アチチ、ハフハフ。粉末ソースなのだが、なぜかリアルに旨い。甘くてパワフルなソース味と紅生姜のさっぱり感に、青海苔が磯臭くて最高である。そして次に目玉焼きを突き崩す。焼き加減は、黄身はとろりで白身は硬く縁は茶色く揚がっているのが好きだ。そして黄身とソース焼そばが混ざると、一体化してマイルドになりながら、コクが増すのであった。ソース焼きそばに目玉焼きは、ガパオライスに目玉焼きと同義なのである。
 そして心外なのだが、とても合うのが、タコぶつなのであった。今日はたまたま冷たい突き出しとして用意した。しかし実は焼きそばのツマとして鉄板な存在なのかもしれない。タコぶつをコリコリやっていると、口の中が洗われるようで、ソース焼きそばが進むのであった。
 ところで下北沢のスーパーでマルちゃん焼きそば3人前は258円だ。相当に高いと思う。地方だと200円しないところもありますよね。ちなみに下北沢北口のローカルなスーパーでは、3人前の袋をバラにして、一人前で売っている。一人前の方が売れ行きがいいみたいだ。それからこの店の名物は、一袋6個入りのロールパンとソントンのチョコレートクリームである。一番いい棚に陳列してある。それは美味しいチョコレートパンが6個もできてしまうので、この界隈では大人気なのであった。
 僕は食後にコーヒーを淹れた。パスコの超熟ロールを袋から一つ取り出して、指で割ると、チョコレートクリームをたっぷりと塗った。マンハッタンのホットドックの屋台で、コッペパンをフォークでザクザクと割っていた。シェイクシャックに行ったら、バーガーじゃなくてホットドックを3つたのみたい。
 僕はベランダに出た。コーヒーマグとチョコレートパンを持って。パクッ、もぐもぐ、ズズー。はあー、マルちゃん焼きそばの食後にぴったりのデザートなのであった。
 
 

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中華粥の郷愁感

  • 2016.10.29 Saturday
  • 14:52
 僕は中華粥が好きである。それもなんだか異様に好きなのだ。
 もちろん僕は日本人だから、日本のご飯が好きである。ご飯に塩鮭をのせて海苔で巻いて食べるのは好きだ。ちなみに塩鮭は新丸子の安田屋の辛口がマイ人生最高峰である。今でも下北沢のアパートから延々と電車を乗り継いで、新丸子へ買いに行く。途中、新宿でも渋谷でも塩鮭は売られているが、新丸子と比べるとお話にならない。焼たらこや辛子明太子で同じようにやるのも最高である。TKG(卵かけご飯)ももちろん好きで、ワカメの味噌汁があれば、もう言うことなしである。
 20世紀末、香港。僕は上湾界隈の麺粥屋にいた。人生初めての香港であり、僕は慣れない広東語のメニューに緊張していた。壁に書かれたメニューには意味のわからない漢字が並んでいる。猪肉ってイノシシの肉か?蝦って海老?腸粉って何? 僕は悩んだが、忙しい香港の麺粥屋でのんびりとしてはいられない。咄嗟にメニューを指さしで、皮蛋と豚肉入りのお粥を頼んだのであった。
 薄汚れたラーメンどんぶりが来た。頼んでから15秒くらいだ。しかし、どんぶりにはなみなみと中華粥が入っていた。粥の中央に一滴の黄金色の油がさしてあった。
 僕は半欠けのレンゲを掴み、グルグルと粥をかき混ぜた。予想に反して、結構、ねっとりとしている。米の臭いが凄い。かなりワイルドな香りである。下から豚肉の小片と皮蛋が出てきた。適当に崩したところをレンゲですくって僕は粥を吸い込んだ。
「あ、あつー!」
池の鯉みたいに口を開けてハフハフさせながら、目をギュッと瞑って、僕は天を仰いだのであった。眉毛はハの字である。
 う、旨い。めちゃくちゃ旨い。そして間髪入れずにふたつめ。ずずー。粥で口がハフハフ。ワイルドなコメの臭い、落花生油、分葱、そして突然、僕はもの凄い郷愁感に包まれた。びっくりした。なんなんだこの感じは。どうして初めて訪れた土地なのに故郷なのか。だいいちここは中国じゃないか。
 何が起きているのか、全然理解できないまま、僕はあっという間に粥を平らげて、200円ほどを払って店を出た。
 お粥で身体が温まった。しかし香港は僕には暑いので、汗が出る。それでも何か清涼なそして温かい気分なのであった。
 もちろん翌日もその麺粥屋に行った。その翌日も翌日も。一日に2回行ったこともあった。今でもとにかく香港に行きたくなるのは、この一杯の中華粥が始まりだったんじゃないか。

 話は現在に戻る。下北沢のアパートである。
 ああ、腹が減った。下北沢は中華料理屋とかカレー屋とか焼き鳥屋は星の数ほどもあり、店員さんの接客は最高だから、食べ物に困ることはない。
 でも、せっかくこの文章を書いているのだから、中華粥を食べよう。それも自分で作ろう。
 まず、米である。米は日本米だけだと香りが足りないので、タイの香り米と日本米を半カップずつ用意する。米を研いだら、ゴマ油とサラダ油を大匙1ほど加えて、軽く塩をふる。そして油と塩を米粒になじませるのである。土鍋に米の10倍の水を沸かして干し貝柱と干し椎茸を適量入れる。味覇も少し入れる。味はこの時点では薄めにしておく。あとは米を入れて1時間中火で煮るだけ。最後の10分で豚肉を入れて、それとは別に茹で塩卵を作っておく。あとは小ネギを切る。
 さあ、ラーメンどんぶりになみなみと中華粥を盛るぞ。卵を手で切って、小ネギをちらして完成である。
 僕は使い古しのレンゲで粥をすくう。一口、すすると、「あ、あつー!」。
 そして僕はやはりじわりと郷愁感に包まれる。天井を仰いでいる。何なんだろう、この感覚は。と同時に、ここまで書いておいて本当に申し訳ないのだが、なんだかあんまりこの感覚については分析したくないなあ、と気付いてしまった。面倒くさいんじゃなくて、何か、この感覚を大切にしたいなあ、と考えてしまいました。
 そして僕はどんぶり一杯の中華粥を平らげるのであった。まだ、いっぱいあるぞ。
 


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下北沢のアパートでリーバイス501を洗う

  • 2016.09.18 Sunday
  • 20:22
 昼下がりの下北沢のアパートであった。僕はいつもの如くパタパタと原稿を書いていた。また、途中で詰まってしまった。気分転換に、外の空気を吸うことにした。 
 牛乳コーヒーと手巻きタバコで一服した僕は、またコンピューターに戻って、パタパタと原稿の続きを書いていた。
 ぷううん。
 ん、なんだろう。
 ぷううん。
 あり、なんか臭うな。
 ヴァージニアブレンドのパイプタバコ臭でもない、コーヒーの残り香でもない、それは違うタイプの有機的な臭いであった。
「ジーンズか」
 僕は先月インターネットでアメリカからリーバイス501オリジナルフィットのリジットを取り寄せた。現在リーバイスジャパンでは僕の欲しい501を買うことはできない。それは勿論、僕がデブだからリーバイスジャパンの想定外なのであるが、日本の会社というのは規格外の男には本当に冷たい。例外とかアウトサイダーとかデブへの気配りというものがない。
 それから1か月間、501を履きっぱなしなのであった。一回も洗濯していない。
 501はオリジナルフィットでありシュリンクトウフィットではない。あくまでリーバイスの最先端の501である。シュリンクトウフィットは昔風の糊のきいたインディゴジーンズで、洗うと縮んでいくジーンズであるようだ。まだ買ったことが無いので、予想的な話しか書けないが、ホームページの写真を見る限りにおいては、少しゆったりとしたデザインであり、少しハイウエストなように思える。いわゆる昔の501XXみたいなテイストのジーンズのようだ。
 僕は大したジーンズマニアではない。ジーンズを徹底的に育てて、アタリとかヒゲとかハチノスとかを誇示しようとは思わない。しかし現代的にジーンズを履きたい。できればカッコよく履きたい。そして体にぴったりとフィットして、履いているのを忘れるくらいの気持ち良さが理想である。外出するときには、小奇麗で少し都会的で、図書館や劇場にも履いて行けるようなジーンズがいい。Tシャツだけではなくて、シャツにも合わせたいし、ジャケットを着るかもしれない。スニーカーはオールスターの黒、ニューバランスを時々、靴は黒革のプレーントゥやサイドゴアブーツが好きである。
 というとやはり購入するジーンズのメインはリジットかリンスになる。
 シュリンクトウフィットを買わないのは、僕は昔のリーバイスについて特にこれといった憧憬が無いからであろう。その良さは十分に味わってきたし、501XXは僕にとって現実そのものであった。望郷的にならないしヴィンテージな貴重性もほとんど理解できない。そしてジーンズのシルエットというのはビジネススーツほどではないにしても、かなり変化しているのだ。クラッシックはいいけれどリアルタイムを楽しむのが、今を生きる喜びなんじゃないか、と思っているのである。
 うーむ、しかし、結構臭うな。
「よし、洗うか」
 僕は風呂の浴槽に水をためた。花王石鹸を水槽に溶かす。トップの部屋干し用の洗剤は、進化しすぎていて必要以上にインディゴが落ちてしまうのではないかという恐怖があるので使わない。洗剤は昭和の花王石鹸でいいと思っている。あるいはマルセイユ産のフランス製石鹸。リーバイスのおすすめ石鹸はドクターブロンナーズソープである。 そしてジーンズを裏返しにして、浴槽に広げる。ここで一番気を使うのは、しわを付けないようにすることである。しわがつくとそこは白くなる。僕は外側の縦しわに気を付けて、内側のしわは良しとしている。そしてここで昔の501XXと現在の501オリジナルフィットの違いを発見する。現在は微妙に立体裁断が施されているのである。そして染料が全く違う。花王石鹸で30分つけ洗いをしても、ほとんど色落ちというものがない。
 十分にすすいだら、縦しわに気を付けて、足のほうを上にしてハンガーにつるす。そして風呂場で水を切り、ベランダで自然乾燥なのであった。
「ふう」
今日の洗濯はうまくいった。
 そうして僕の501は3か月目くらいに太腿が色落ちしてくるはずである。3か月間毎日履き続けて、やっと自分の味が出てくる感じだ。コスパ最高。しかしいったん自分のものになってしまうと、急にもったいなくなって、ぞろ新しい501を買ってしまう。
 


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崎陽軒のシウマイ

  • 2016.09.08 Thursday
  • 14:38
 今日は品川に行く用事があったので、山手線に乗った。そして無事に終わって僕は渋谷に着いた。井の頭線に乗って下北沢へ帰ろうと思ったが、昼過ぎの腹はグルルと鳴った。
 よーし、たまには喜楽に行こうかな。喜楽の醤油ラーメン。もやしをかき分けて太麺をつかむと、ぷんと醤油の香りが立つ。そして焦がしネギがからまる。
 ふと時計を見ると昼の12時30分であった。喜楽のラーメンにありつこうと思ったら、めちゃめちゃ並ばなければいけないじゃないか。ブルルルルル、やめようやめよう、次にしよう。
 しかしファストフードは食べたくないし、思いつくレストランのランチはどこもかしこも超満員であった。
 人が溢れかえる巨大な渋谷の街角で、僕は閉塞感に襲われた。
 普段、僕は下北沢のアパートでもぞもぞしている生物である。文章を書くのに詰まってしまい、じゃ外の空気でも吸って、気分を一新しよう、と思ったらベランダだ。コーヒーを沸かして冷蔵庫の牛乳を注ぐ。シャグ缶を取り出してタバコを巻く。牛乳コーヒーを飲みながら手巻きタバコをチッチとやる。ベランダからはスズナリが見える。そこに母親がよくスーパーで選んできた、硬いチョコレートチップクッキーがあったら、もう最高である。
 赤鉛筆を耳に挟んで、マグを手に、原稿を読んでいると、僕は本当に自由なのであった。妄想は個人の自由だからな。他人に迷惑をかけちゃいけないけど。神とか変態とかバケモノとか、なにもかも存在してしまう世界である。しかしあまりにもその世界に耽っていると、帰ってこれなくなるかもしれない。赤鉛筆で原稿を真っ赤にして、また部屋に戻ってパタパタと文章を書く。赤鉛筆がこの世界の扉の鍵。
 「あ、そうだ」
ここで買いアパートで食べればいいのだ。渋谷にあり下北沢にない物産を、僕は思いついたのであった。
「シューマイ弁当とシューマイください」
崎陽軒のオバちゃんに僕は話しかけていた。井の頭線のデパ地下であった。
「シューマイは昔ながらのシウマイ15個入りでよろしいですか」
最近の崎陽軒は、ちょっと面倒である。異様に品数が増えたのであった。我が脳内の赤い崎陽軒のシューマイは、(横浜名物 昔ながらのシウマイ15個入り)と名付けられている。30個入りは昔からあったが、現在は6個入りもある。その他、特製シウマイ、真空パック入り、えび、かに、黒豚等々。弁当も書ききれないほどの種類がある。
 僕は弁当を持ち下北沢のアパートに帰った。途中で冷たいウーロン茶も買った。
 まずはシューマイの赤い袋をべりっと開ける。簡単に開けられるのが嬉しい。黄色い紙箱があらわれる。紙は少ししっとりとしている。ひょうたん型の醤油差しと辛子を開けて、楊枝でシューマイをさして口に運ぶ。もぐもぐ、もぐもぐ。次に2個連続でさして口に運ぶ。もぐもぐ。電子レンジもガス台もあるから、温めることはできるのだけれど、崎陽軒のシューマイは常温で食べられるのが尊い、と思うのだ。
「なんか小粒になった気がするな」美味しいのに文句を言っている。
 次に黄色いシューマイ弁当を開ける。箱が薄い木で作られている。木の香りが食べ物に移っていて、いくらでも食べられる。蒲鉾、から揚げ、煮マグロ、タケノコ。そしてもちろんシューマイ。紅生姜に昆布の佃煮。八の小俵に押されたご飯は少し硬くて、割り箸が折れそうで危なっかしい。
「ぷはー。食った食った」
ごくごくとウーロン茶を飲む。もう、昼寝しかないよね。

 

 

 




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コーヒーとボンボンショコラと手巻きタバコ

  • 2015.03.10 Tuesday
  • 18:29
 今日は朝から小説を10枚書いた。昼下がりの下北沢のアパートである。さて、そろそろ休もうかなあ、うん、まずコーヒーを飲もう。
 淹れたてのコーヒーを一口すする。旨い。今日のコーヒーはスターバックスのカフェヴェロナである。いやあ、贅沢だなあ、そして極めつけは輸入食品屋のカルディで購入したボンボンショコラのウイスキー入りである。ダークチョコレートにウイスキーとシュガーの入ったショコラだ。うう、当に大人のためのコンフィル。
 間髪入れずにパクッと口に放り込む。そして噛まない。絶対に噛まないで舐めないで我慢する。ショコラを口の中にそのままにしておいて、唇にコーヒーを注ぐのである。
 ショコラがコーヒーに溶け出す。このダークチョコレートがいいと思うのだ。ミルクチョコレートはこの場合のコンパニオンとして相応しくない。KOBEビーフのステーキを高いお金出してまで食べなくてもいいやというのと同じ理由である。そして硬めのダークチョコレートの外殻がじわじわと溶けていく刹那、堤防が決壊したみたいにウイスキーがトロッと出てくる。カカオとコーヒーのむせるようなナッツの芳香にウイスキーの人智的な香りが混ざる。
「さ、最高」
 ところで最近タバコをやめて、手巻きタバコとパイプとシガーに変えた。
「それって、全然やめてないじゃんY島」
と言われそうだが、実は煙を肺に入れるのをやめたのである。口と鼻だけで煙を楽しむスタイルに変えたのだ。これはスモーカーとしては禁煙に匹敵する革命的なことなのである。一応。そう、自分的には相当な変革なのだが、タバコの煙がモクモクして周囲に迷惑をかけるということについてはむしろ悪化しているので、エチケットは増々気を付けたいと思います。
 ということで僕は下北沢のアパートで手巻きタバコをつくるのだった。
 フランスのジグザグという会社の手巻きタバコ道具一式を取り出した。この一式は開高健が1960年に初めてパリを旅して街角のタバコ屋で見つけたものとほとんど同じだろう。タバコ巻き器は掌に隠れるほどのサイズで、棒が2本付いていて、そこに布がコの字に張ってある。布をたるませて、フィルターとタバコの葉を詰め込み、そして手で棒をくるくると回して紙で巻いて作るのである。ちょっとしたこつが必要だが10回もやれば巻けるようになる。しかしタバコの詰め込み具合ひとつとっても味わいは天国と地獄の違いになるので理想郷に達するには怖ろしく奥が深いと思われる。
 手巻き用のタバコの葉はシャグと呼ばれる、葉が糸状にカットされたものである。パイプ用のタバコになるとビーフジャーキーみたいな板状のものもある。紙巻にはシャグが使いやすい。
 現在僕の好きなレシピはスリーセイルズというシャグにドイツ製ブルーノートを僅かにブレンドしたもの。コクと香りとボディの強い、少しだけ甘みのあるブレンドである。
 2種の葉を混ぜてくるくると巻く。のりのところをチッとなめて、くるっと巻いたらオリジナル手巻きタバコ完成。正確には手巻きじゃなくて機械巻だけれども、本当に左手だけで巻いてしまう達人もいるらしい。
 ザ・オリジナルに火を点ける。バージニア産とイングリッシュ系にやや甘みが加わったテイストである。
 ボンボンショコラをパクッといく、コーヒーを飲む、そしてタバコをふかす。吸わないでふかすだけ。
「ぱふー」
プリントアウトした自分の文章を持ってベランダに出る。推敲するのだ。コーヒーカップを持ち、唇にザ・オリジナルをくわえると、右耳に赤鉛筆をはさんでいます。


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スマホにアパートにコンビニ

  • 2015.01.21 Wednesday
  • 18:52
 「何で働かなきゃいけないんですか」

 僕は下北沢のアパートにいた。執筆が全く手につかない。なので、ぶくぶくしながら寝転んで、スマホを握ってSNSをチェックしていた。
 ふと、疑問に思う。
 これって本当に人と繋がっていると言えるのだろうか。そしてこういう形で人と繋がるのに意味があるのか。特に用もないのに。
 友達というのは実はシステムなのかもしれない。
 同調圧みたいなものを感じるし。
 観念の渦巻みたいになってるし。
 ということは自由じゃなくて、むしろ箱の中に押し込められているんじゃないか。コイルみたいな電線をグルグル回っているだけで。
 とりあえず冒頭の書き込みに「いいね」してみる。

 
 窓の外は夕暮れであった。
 いい加減起きて、牛乳コーヒーでも飲むか。僕は冷蔵庫を開けた。あーあ、牛乳切れちゃってるよ。
 仕方がない、コンビニへ行くか。
 アパートを出るとディスクユニオンの前の茶沢通りを渡った。40mほど歩くとローソンに到着した。牛乳と菓子パンひとつ持ってレジに並ぶ。僕の番が来たので、カウンターに商品を載せた。
 バイトの店員さんはもの凄いスピードでレジを打ち、小袋に入れて、
「いつもありがとうございます!」
「あ、はぁ」
250円の買い物なのに、勤労青年にビシッと言われてしまった。
 うーむ。まずいな、まともに受け答えできなかった。(あ、はぁ)じゃなくて、あーいう時は(おつかれさまです)くらいは言えないと、人間として、問題あるだろう。
 内省しながらローソンを出ると、路上に座ってぺヤングをガツガツ食べている男子と女子がいた。髪の毛は何色ともいえない蛍光色である。傍らにシールがベタベタのギターケースが置いてある。
 僕もディスクユニオンに行くか。最近m.i.a.にはまってしまって、それはそれで本当に幸せなんだけれども、余りにも個性的で、その他の新しい音楽を見つけることができない状態なのである。アップビートな音を中心にCDを探す。ちょっとボーカルが弱い感じなのだがQueen of heartsを買ってみた。ダンス系の方が良かったかな。
 店を出るとシェルターは人だかりであった。向うのスズナリもわさわさしている。
 僕はふくれっ面で傍観していた。でも、スマホも便利だけど、やっぱり下北沢はいいところだ、とあらためて思う。とにかく、みんな元気がいいね。
 菓子パンと牛乳コーヒー飲んだら今夜はがんばらないと。

 



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下北沢の物語

  • 2013.11.09 Saturday
  • 18:08
 僕は下北沢のアパートの万年床に寝転んでいた。スマホを見ると、もう11月だ。今日は寒い。外は雨が降っている。僕はリモコンのスイッチを入れた。そういえば、今シーズン初めての暖房か。
 今日は小説を一枚も書いていない。
(だめだな。何やってんの?)
 自問してもだめ、やる気がおきない。今日は書けそうもない。
 枕元に転がっていた漫画を手に取った。
(痛々しいラヴ 魚喃キリコ)
15年以上も前に書かれた作品だけど、今読んでも不思議と違和感がない。僕は1966年生まれで、まあ、もうだいぶいい年したおっさんであって、世紀末の若い魚喃さんとかぶることなんて微塵もないはずなんだけれど、痛々しいラヴを読むと、なんか痛々しい。
 凄く単純なことだけど、この物語は下北沢の物語なのだ。
 個人的に、僕は小説を書くために下北沢に来た。夢はいつ実現するのか、わからない。暗闇の中をただただ歩いているだけ。前に進んだ感じなんてない。
 でも、下北沢に住んでいる。下北沢には夢を追う人がたくさんやってくる。そしてそこにはそれぞれの物語がある。
 

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パン買いにいくか

  • 2013.10.30 Wednesday
  • 12:50
 最近やっと涼しくなってきたので、良かった。いつもの如く僕は下北沢のアパートで小説を書いていた。昼からずっと集中したので、12枚ほど書けた。時計を見ると5時である。おお、結構、進んだ。一休みするか。
 僕は流し台でコーヒーを作ってベランダへ出た。タバコに火をつける。
 スズナリの前にレトロなロングドレスの女性がいた。姿勢が良く髪型のくっきりとした人だな、と思って見ていると劇場から出てきたお客さんに挨拶している。ふーん女優さんか。
 僕はコーヒーを飲む。スズナリ横町の焼き鳥屋の外座敷では客が一杯やっている。煙香の漂う下北沢の夕方であった。
「パン買いにいくか」
僕は千円札を1枚ポケットに入れて下北沢の街へ出た。
 バスの停車場脇の小道を南口商店街へ歩いた。道の左側には、また焼き鳥屋がある。下北沢の南口は焼き鳥銀座だ。この店は立ち飲みセットが750円である。お通しとビールに焼き鳥4本。ごっくん、咽喉が鳴るがここは我慢する。まずはパン屋へ向かうのだ。早くしないと売り切れになってしまう。
 店に到着すると、カレーパンは残っていた。いつものパン屋のアンゼリカである。さらにそぼろクリームパンもある。おお、今日はついているな。さらにシュークリームも買っちゃおうかなー、でも300円と高いので我慢しよう。
「よし。パン買えたぞ」
僕はビニールをぶら下げて南口商店街を歩いた。足が軽い。袋にはカレーパン2つにそぼろクリームパン1つが入っている。カレーパンはルーがたんまりと入っているので、なかなか重みがあるのである。充実感を持って歩いているみたいだ。それは村上春樹さんの言う小確幸(小さな確実な幸せ)か。
 ところで僕はパン生地がぼそぼそしているカレーパンは嫌いだ。衣がサクッと揚がっていて、パン生地は薄くてもっちりが理想である。そこへスパイスの効いたコクのあるルーが絡んでくれるカレーパンが好きだ。アンゼリカのカレーパンは僕の理想のカレーパンでもある。
 1つ食べようっと。僕は道端でビニールからカレーパンを取り出した。ぱくっと一口。もぐもぐ。もぐもぐ。このカレーパンは本当に旨い。その上、買い食いすると何倍も旨い。僕はカレーパンを片手に街を歩いたのであった。
 そして下北沢はこういう時にちょっと腰を下ろして食べたり飲んだりできるスペースのある街だ。それは公共の施設ではなくて、個人の商店やビルが自腹を切って用意しているスペースである。僕は本多劇場の裏階段を上がるとヴィレヴァン裏口の自動販売機で缶コーヒーを買いベンチに座った。ここには灰皿もある。僕はカレーパンを食べる。もぐもぐ。缶コーヒーを飲む。タバコに火をつける。ふー。小確幸。
 ヴィレヴァンに入ると、文学コーナーで穂村弘の新刊を見つけた。欲しいな。僕はポケットをまさぐると、残りは260円であった。次に漫画コーナーでイムリの13巻を見つける。しまった、棚移動していたものだから分からなかったが、裏表紙を開けば3か月も前に発行されているじゃないですか。
 物欲は爆発するが、お金は全然足りない。
 仕方がなく僕は裏口を出て、とぼとぼとアパートへ向かったのであった。小道を行くと、古本屋があった。
 森茉莉の文庫本が180円で売っている。おお。
 アパートに帰った僕はカレーパンをくわえて、万年床に転がった。森茉莉のエッセイを読む。カレーパンをかじる。もぐもぐ、もぐもぐ。昭和の時代に森鴎外の娘の森茉莉さんは下北沢に住んでいたようである。


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