マリンジェットなんか借りるんじゃなかった (タイシリーズその7)

  • 2014.06.10 Tuesday
  • 20:03
 タイのパタヤにいる。
 マリンジェットに乗るぞ。
 ビーチにぷかぷかと浮いているのはMJ-VXという3人乗り102馬力のモデルである。ヤマハのラインナップにはエンジンで分けると3つのモデルがあり、102馬力、160馬力、250馬力である。
 僕は後ろから乗り込んでまたがった。停船中が最も不安定だ。レンタル屋のお兄ちゃんが押さえてくれているが、おお、結構、揺れるな。グラッと立ちごけしそうになる。何とか、バランスをとった。
 アクセルを少し握る。ブゥオオオ。ジェット発進。うお、は、速い。
 3人乗りのマリンジェットは、かなり安定性がいい。二人乗りや一人乗りだと、乗った瞬間に立ちごけして、海に放り出されるのが常だが、3人乗りはよほど下手な動きをしなければぷかぷかと浮いていてくれるのである。
 アクセルをもう少し握る。ブゥオオオオー。は、速い。怖いぞ。これで102馬力なのか。パワーがありすぎて、とてもじゃないがアクセル全開なんてできない。
 ところでマリンジェットはヤマハの水上バイクに使われる名前である。ジェットスキーはカワサキである。それらは商品名で一般名は水上バイクだ。カワサキの方がマニアックで速い。ヤマハはちょっと大人しいが、故障が少なく扱いやすい。性質はオートバイに似ている。
 そして僕は、海が初めてなのであった。免許は川の教習所で取った。その後二人乗りのマリンジェットを河口で一回乗っただけだ。
 海って、波があるじゃん。揺れて、怖いよ。
 穏やかなパタヤのウオンアマットビーチなのだが、小さな波とうねりはある。海面にウサギは飛んでいないし、沖から波のセットみたいなものは全くやってこない。もし僕がサーファーなら「ベタ凪ぎ、帰ろ」、という本日の海である。
 僕はアクセルを3分の1ほど開いたままマリンジェットの上に固まっていた。20キロも出ていないはずだが、海面のうねりでバランスを崩しそうになる。上下動に加えて、前に突っ込むのが怖いし、左右のバランスもうまく取れない、そしてどうやって曲がっていいのかわからない。
 10分が経過した。ああーマリンジェットなんか借りるんじゃなかった。後20分もこんな思いをするのは辛すぎる。もう疲れたし、面白くないし、首が痛くなってきた。
 思い返せば、免許を取ったのは6年前である。すぐに友人の二人乗りジェットに乗ったのだが、怖くて怖くて、全然楽しくないうえに、着岸のときに立ちごけして河に放り出され、水中から乗り込むことができなくて、死にそうな思いをしたのであった。それからは一回も乗ったことがなかった。
 だから免許はすでに失効している。
 急に海面が下がった、船体がバウンドする。そして水の壁に鼻を突っ込んで、前のめりになる。僕は思わずアクセルを緩めてしまった。バランスを失う。ああ、落ちるー。ドタバタ。
 はあはあはあ、なんとか堪えた。小うねりにやられるところだった。時計を見ると15分が経過している。
「もうやだな」
「帰ろうかな」
ウオンアマットビーチの沖合で、僕はマリンジェットに乗ってぷかぷか浮いていた。


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