なぜ女性はSUVが好きなのだろう

  • 2014.11.29 Saturday
  • 13:23
 「アーバンSUVというカテゴリーからして認めたくない」
それは車好きの男の本音ではないだろうか。四輪駆動車ならジープにランドクルーザー、レンジローバーにゲレンデヴァーゲンであり、悪路をガシガシ走る際のギヤとして、それらはオーセンティックな選択枝である。
 アーバンSUVって何? 
 都会のフラットな道を走るのに、四角くて、無駄にデカいだけじゃないか。燃費は悪いし走りもダルイ。そりゃそうだ、どうやったってあの車体の大きさだと総車重は2トンに達するわけだから。500馬力のエンジンに超強力なブレーキを装着しないとまともに走るわけがない。ゴルフと同等の走りをするためにはBMW M5とかスカイラインGTR級のエンジンとブレーキが必要で、そうするとトランスミッションやボディ剛性も強固にしなければならない。たかがSUVなのに。ダムダムダムダム無駄。
 しかし……ですよ。
 LA、ロンドン、ニュヨーク、パリに東京も、ふと冷静になって観察してみると、ポルシェカイエンやBMW X5にレクサスRXが走っている。ボディはビカビカして19インチのタイヤにスポイラー、巨大な21インチのタイヤを履いている車もあり、運転しているのはサングラスの美女である。
「私はこの車がとても好き」
デイヴィッド・ゲッタのPVみたいだ。うーむ、何と言えばいいのだろう。
 僕は真剣に考える。
 しかし、なかなかこの現象についての説明ができないのであった。
「なぜ女性はSUVが好きなのだろう」

 どうしても答えが出ないので、逆説的に考えてみることにする。
 すなわち僕自身に問題があるのではないか、という本人には辛い仮説である。
 果たして車好きの男とは何者なのか? (自分の事だ)
 僕の少年時代はスーパーカーブームだった。それ以来、漫画と車雑誌を読みまくった人生である。サーキットの狼に始まり、カーグラである、そして最近はセブンイレブンでベストカーを立ち読みするだけだが、それでも1980年あたりから新車情報を切らしたことは無い。かーちゃんがお醤油を切らさないのと同じである。
 記憶力の良かった中校生の頃は、全ての新車の馬力とトルクを空で言えた。小学校4年生でランボルギーニ・カウンタックの助手席に潜り込み、ロールスロイス・シルバーシャドーに5年生で乗っている。我が家が金持ちだからではない、その時代はスーパーカー関連のイベントが流行していたのだ。ディズニーランドみたいに人気があり、くじに当たるとスーパーカーの助手席に乗れるのであった。
「なんだよ、ロールスかよ」
ロールスロイス・シルバーシャドーに乗った時の一言である。今ならその生意気な小学生の頭を小突いてやりたいが、当時の僕はロータス・ヨーロッパに乗りたかったのであった。
 それから四半世紀が過ぎて、自分で車を買うようになった。そしてスーパーカーを夢のように買いまくったか、というと現実はそれほどは甘くなかった。僕はフォルクスワーゲン・ゴルフを20年間も乗り続けてしまった。計6台である。ゴルフは最高の車だと今でも思っているが、客観的に見れば、車歴としてはかなり地味である。
「人生なんてそんなもの」

 ところでアーバンSUVという車を売り出したのは誰?
 考えるまでもなく、それはトヨタである。アーバンSUVはトヨタ・ハリヤーのコンセプトなのだ。そして世界を席巻し爆発的なヒットを記録する。それにBMWもポルシェもベンツもアウディも他のメーカーも、後だしじゃんけんしてきたのだ。
 当初BMWはトヨタのコンセプトを馬鹿にしていて、我社は左様な車を製造する予定なんてない、とかなんとか発言していたんじゃないか。いつの間にかXシリーズを販売している。ポルシェも911だけで会社経営が青色吐息になったところで、カイエンで市場に殴り込んできた。往年の911ファンからは非難轟々であったが、現在は911よりカイエンの存在感の方が上かもしれない。メルセデス・ベンツはゲレンデヴァーゲンをオリジナルデザインのまま作り続けていたから、当初は余裕の態度であったが、やはり焦りが生じたのか、最近は節操なく新しいSUVを作っている。
 ということで、実はレクサスRXとNXというのはオーセンティックなSUVと言っても全く差し支えないのである。言わば先駆者の末裔なのだ。
 
 うーむ。ここまで書いてきて、ちょっと嫌な予感がしてきた。仮説が実証されそうな感じがする。
 スーパーカーとかゴルフの実用車としての素晴らしさとかSUVの歴史について書いてきたが、そういうのは、言わば車に対する男のこだわりとかセンスみたいなものである。
「なぜ女性はSUVが好きなのだろう」
ようするに、そういう能書きみたいなものが、全く意味を持たない現象なんじゃないか? 僕がこだわっている車の歴史とか伝統とか合理性みたいなものは、サングラスの美女に言わせれば、
「ジジ臭」
なのかもしれない。やっぱり問題は自分なのか。

 半ば諦めの心持でBMWのディラーへ見学に行った。
 とりあえず、己の持つ車哲学みたいなものを全否定して、真っ新な目でBMW X4を観察した。
 赤いクーペタイプのボディは、腰が高くてデカい。しかしなかなか思い切ったデザインである。運転席のドアを開けると、レザーシートはシックだ。インパネの作りは精緻だし、レザーハンドルにはBMWのロゴがピカピカと輝いている。トランクはボタンを押すと電動ですーっと開く。うーん、なんか悔しいけど、かっこいいかも。
「洒落た車なのに、人も荷物もかなり載せられる」
たしかにこういう車に憧れる気持ちもわからなくもない、という心持になってきた。
 アーバンSUVとは豪華な馬車なのだ。
 もしサウジアラビアの王族が俊馬をプレゼントしてくれたら、僕は鞍と鐙で乗馬するが、サングラスの美女はコーチビルダーに豪華絢爛たる馬車をオーダーしちゃう感覚なのかなあ。英国のミュリナー・パークウォードとか。
 遅くなるんだぞ。

 


JUGEMテーマ:日記・一般


JUGEMテーマ:車/バイク


コメント
管理者の承認待ちコメントです。
  • -
  • 2018/03/27 1:17 PM
コメントする








    
この記事のトラックバックURL
トラックバック

calendar

S M T W T F S
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  
<< January 2019 >>

selected entries

categories

archives

recent trackback

recommend

links

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM