万年筆のインク

  • 2015.01.14 Wednesday
  • 12:39
 パソコンがないと文章が書けなくなってしまった。
 漢字が出てこないからである。
 紙と鉛筆でもって文章を書こうとする。ふと「えんぴつ」って、漢字で書けるか? などと考えこんでしまう。鋭筆? いやちがうな、鉛筆だ。
 
 無常である。
 でも、しようがない。
 という状態なので、手紙を書くのもパソコンだ。
 ワードを使えば、漢字問題は発生しない。自由に文章が書ける。しかし手紙なのにワープロの文字ばかり、というのも、紙面が余りにもクール過ぎるように感じるので、サインだけは万年筆で書いている。
 万年筆はウォーターマンのカレンを使っている 。少し細めで短めの万年筆だ。名前からすると女性用の製品なのかもしれない。
 カレンは飛行船のような形をしていて軸はポリッシュシルバーである。20th ミッドセンチュリーの近未来デザインのようでもあり、全体的にコロッとしていて、かわいらしい。
 病院に勤めていた頃はデルタが好きだった。デルタのボールペンや万年筆で紙のカルテに殴り書きしていた。美しいデザインと柔らかい手触り、全てがとても滑らかである。
 しかし壊れやすいのが玉に創だ。一回でも床にペンを落とすと、その衝撃で、必ずどこかが壊れてしまう。カバーが閉まらなくなったり、ボールペンの芯がうまく出なくなったり、書くと異音がするようになったり。
 だから僕の机の引き出しにはデルタの残骸がいくつかある。もう二度と使うことは無いのがわかっていても。
 カレンは丈夫である。イタリアとフランスの違いなのかもしれない。
 ところで万年筆のインクはボルドー色を使っている。黒文字の紙面にサインするのだから、僅かに華美なボルドーがいいのではないかと思っている。
 万年筆にインクを補充してから、少し時間が経つと色が濃くなる。この、濃いボルドーが好きである。黒に近い暗いボルドー色。
 それは黒がセピアに変化する過程のようにも見えるし、熟成されたクラレットのようにも見える。
 万年筆はインクを補充して全く書かないでいると、インクが乾いて文字が擦れてしまう。そうするとペン先を水で洗わなければならない。内部にどうしても水が入ってしまうから、洗った後は薄いボルドー色になる。それでサインをすると、僕は妙に落ち着かない。自分の名前がなにか薄幸な印象ですらあるのだ。
 だから時々書いてみて、そしてインクを補充している。


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