アドリアナリマ

  • 2017.01.04 Wednesday
  • 21:18
 2000年頃僕は研究成果を書いたポスターやコンピュターを持って学会発表をしていた。ニューヨークで発表して、東京に帰りながらサンフランシスコでもう一度。会場に居座る重鎮の学者達を唸らせるような、大した成果はあげられなかったが、何人かの若い研究者と実験方法について熱く語った。僕は英語はもちろん不得意だが、そういう問題ではなくて、とにかく必死に自分の考えをアピールしたのだ。そのためには英語が必要だった。
 マリナーズがサンフランシスコに来ていて佐々木投手が同じホテルに泊まっていた。彼は日本人としてハンサムな大男だった。そのホテルの朝食はコンチネンタルで物足りなかったので、近くのスクエアのレストランでオムレツを食べた。スクエアにはケーブルカーが走り、ヴィクトリアシークレットの路面店のウインドウにはアドリアナリマが微笑んでいた。
 僕は高校の時にアメリカンフットボールをやっていた。ジョーモンタナ、ダンマリーノが現役の時代だ。ウオルターペイトンとかね。だから今でも時々YouTubeでNFLの試合を見る。現代のスーパーボールはブルーノマーズやコールドプレイがハーフタイムショーに出ていて、昔よりだいぶ派手になっているが、マスコットガールはアドリアナリマだった。スタジアムジャンパーがとても似合っている。
 世界はInstagramの時代になった。Instagramは、素人が綺麗に写るので大人気だが、スーパーモデルを生みやすい。アドリアナリマは951万のフォロワーを持っている。ケンダルジェンナーは7153万。
 2016年12月にパリでヴィクトリアシークレットのファッションショーが開かれた。すぐにYouTubeにのせられる。レディガガ、ブルーノマーズ、ザ・ウイークエンドがパフォーマンスするランウエイにモデルが次々と現れる。2000人を超えるオーディションをくぐり抜けた、世界の最もナイスアンドセクシーな50人のエンジェルによるショーだ。10代のしなやかな体躯のモデルと共演するアドリアナリマ。1999年より18回目の連続出場で、今は36歳。アドリアナリマに憧れて育ったモデルが共演するのだから、舞台裏を見ると、親戚の集まった宴会みたいに盛り上がっていて、楽しそうである。
 アドリアナリマは頬を上気させてランウエイに現れる。物凄いオーラ、割れるような歓声、観客の一人一人を指差し、全員に目を合わせる、そして足を開いてポーズ、指で大きなハートを作って笑顔、最後にバチンとウインク。後ろを向くと、長い脚で戻っていく。
 いやー、ほんと凄いわ。2016年も綺麗だった。女神アドリアナリマによるランウエイである。2017年もお願いします、あなたを待っています、と拝んでしまう。
 しかしこのショーはファッションについてはどうでもいいと割り切っているところが潔い。エンジェルの魅力を引き出すことだけに終始している。とてもシックとは言えないし、むしろ下品気味なんだけど、エンジェルは全てを超越していて誇りを持って出演しているように見える。やる気満々のジジハディットは美しい。新人のジョージアフォウラーは奇跡みたいだ。それがこのショーの成功の秘訣なんだろう。
 英語がある程度できるようになると英語圏に入れる。ネイティブの人たちもすごいけれど、非英語圏から英語圏に乗り込んできた才能は強烈だ。アドリアナリマはブラジル出身でポルトガル語が母国語。エヴァグリーンはフランス。MIAはスリランカ。彼女たちの才能はもちろん凄いんだけれど、ファンがしっかり長い息をもってついているのは、同じように非英語圏から英語圏にいる人たちによるからなんじゃないか。だからアドリアナリマは文明的スーパーモデル。渦巻きの中心にいて、時空を超えようとしている。
 
 



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