烏龍茶問題

  • 2018.09.02 Sunday
  • 00:36
「冷たい烏龍茶なんてない」
九龍のある飯店の支配人はピシャリと言った。こういうときの香港人というのは、日本人から見ると、これ以上ないというくらいに尊大な態度である。さすが華人である。日本人だったら、他人に対して、ここまで偉そうな態度を取れない。内閣総理大臣だって取れない。文化的なわが国においては、そこまでの根拠が無いし、とにかく後でモメ事になるのを極端に嫌がるからだろう。
「全く、日本人は」
モノを知らない、夷の日本人め、という雰囲気が伝わってくる。21世紀においても、我々は華として扱ってもらえない。
「じゃ、じゃあ、鉄観音ください」
「うむ」
支配人は茶を運んできた。
「茶の淹れ方はわかるか?日本人」
「わかりません」
僕は本当に何もわかっていなかった。当時の僕にとって烏龍茶といえばサントリーの烏龍茶であった。ペットボトルで冷たくして製氷機の氷入りである。そんなこと怖くて、この場で言える雰囲気ではなかった。もう、華人のいうことを素直に聞くしかない。
「先生、教えてください」
諦めた。僕は改めて儒教的な態度で臨んだ。
「そうか。それならば、教えてやる。まずは、茶器を温めて、洗茶をするのだ」
それから支配人は茶の起源、歴史、分類などについて延々と語った。そして手取り足取り鉄観音の淹れ方の指導が始まった。
 僕は上海蟹の麺を食べに行ったのだが、肝心のその料理の味はイマイチよく覚えていない。しかし鉄観音の香りと糖蜜みたいな甘みは忘れない。

 「さてと」
ここまで書いたら、何か飲みたくなった。せっかくだから、今日はいつものコーヒーじゃなくて、烏龍茶を飲もう。
(鳳凰単叢)
日本語でホウオウタンソウと読む。鳳凰山のたった一つの茶木から作られた、という意味だそうだ。高級烏龍茶を代表する銘柄の一つでもある。横浜中華街の専門店で僕はこの茶を買ったのであった。
 鳳凰単叢は半発酵の青茶であり、いわゆる我々のイメージする烏龍茶である。鳳凰山の岩がゴツゴツしている処の、樹齢数百年という茶木の葉で作るそうだ。今日の中国では、良品になると、あっという間に100グラム1万円に達するらしい。それは広東省潮州の生産地価格において。
 僕は洗茶を1回行った。やかんでお湯をカンカンに沸騰させる。そして一煎10秒である。鳳凰単叢は熱湯でサッと淹れるのが適しているらしい。
 ズズー。うーん。旨い。お茶のボディに呼応する言葉が見当たらないのだが、そのあとに苦みとエグ味が来るだろうなと身構えた瞬間に、甘味に変わるのは見事である。そして下北沢のアパートのいい加減な水道水で淹れているにもかかわらず、水の一滴一滴がキラキラしている。たったの10秒間浸しただけなのに、優れたお茶っぱとはなんという力を持っているのだろう。
 
 そして烏龍茶で一服していると、点心が食べたくなりますね。香港式のシュウマイが食べたい。美味しいのは売っていないから、自分でつくるか。
 

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